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ドラマ『盤上の向日葵』感想

好きな戦隊はゴセイジャー(※初めて観たのは昨年)な人間なので、千葉雄大出演作は他よりも少し注目している。
(ニチアサにハマるまで、千葉雄大松坂桃李も、ライダーだと福士蒼汰吉沢亮も名前は知っている程度の認識しかなかった。さすがに竹内涼真は知っていたが。若手俳優や声優に詳しくなれるよな、ニチアサ。)
そんなわけで千葉雄大主演の『盤上の向日葵』はもちろん観てみようということになる。
全4話、原作未読状態での視聴。
タイミングよくゴセイジャーの公式無料配信も始まったため、千葉雄大のデビュー作と最新作を交互に観るような形になった。
天真爛漫、しかし戦闘モードでは顔つきと声の変わる天使・アラタと、無表情なプロ棋士・上条桂介を交互に。
(ここで一つ断っておくと、自分は千葉雄大そのもののファンというわけではなく、好きなヒーローを演じた千葉雄大を応援するという立ち位置のファンです。ファンであることに変わりはない、のかな?)

千葉雄大のことは置いといて、作品の感想を。
原作未読ではあるものの、ちらほら感想を拾っていくと、原作では

  • 佐野刑事が男(ドラマでは蓮佛美沙子が演じている)
  • 救いのない終わり方

らしい。逆に原作から見たドラマは

  • 佐野刑事が女に改変されている
  • 救いのある結末に改変されている

ということになる。
まぁドラマしか観ていないので改悪だったのか改良だったのか、それとも、どちらも違った味がしていいね、だったのかの判断は保留。
機会があれば原作も読んでみようとは思っている。

ドラマだけを観た時に、違和感を抱いた点がいくつかある。
その全てが「盤上の向日葵」に関係しているため、もしかすると原作から削ぎ落とした部分、改変した部分と、原作通りの部分が少し喧嘩をしているのではないか、と感じてしまった。
実の父親が母親の実兄だった、向日葵畑で母親と抱き合う男の幻影が自分そっくりの男だった、向日葵畑のイメージ、盤上に向日葵が見えるという設定、呪われた血、云々。
ここらあたりはいらなかったんじゃないかなぁというのが正直な感想。
特に東明重慶役の竹中直人が素晴らしかっただけに、東明と上条の関係性に見応えがあっただけに、母親の過去のこと、血のことなどは蛇足に思えてならなかった。
しかし、この部分を削ぎ落としてしまえばタイトル『盤上の向日葵』の意味が消えてしまうことは想像に難くない。
ん〜、タイトルも変えてしまってよかったんじゃないかなぁ。
(これが原作からの改変/省略の結果の噛み合わせの悪さだという前提の戯言。違ったらごめんなさい。)
クズでも父親を慕ってしまう小学生時代の上条桂介、クズな父親を突き放そうとする青年期の上条桂介、ここら辺の成長を点と点ではなく線で繋いで描写してくれれば、「本当の父親は別にいる」「しかもそれは母親の実兄、自分の伯父だった」「母親が自殺した本当の原因は自分だった(かもしれない)」という衝撃からの自暴自棄気味な描写にも違和感はなかったかもしれない。

前半の柄本明、後半の竹中直人は圧倒的存在感を放っていた。
いやぁすごい役者だなぁと何度思ったことか。
竹中直人チャランポランな役も多くやっており、印象としてはそちらの方が強いため普段はスルーしてしまいがちなのだが、いや、すごい役者だ…。
一方の柄本明は、なんだろうか、演じているという体を見せない、というのか。
「そういう人」がテレビに映っているという感覚になる。
自然体を演じるのが上手い、というのか。
自分は、ドラマなり映画なりを観ている最中に「演技が上手い」「怪演だ」と思ってしまったらそれはダメなのではないだろうか、と思っている。
それは我に返っている状態なわけで、作品の作り方なり、演者の演技の仕方なりに、観客を我に返させてしまう落ち度がある。
もしくは観客側に原因がある、家で観ている時にそこまで没頭できるかというと簡単な話ではないのだから。
どこに原因があるにせよ、観ている最中に「技術のお話」をするのは野暮だなぁと思ってしまう。
観終わった後、振り返って、すごかったなぁと思うならともかく。
私も観ている最中に「すごい…」と思うことは何度もあれど、それをそのままアウトプットしてしまうのは憚れるなぁ。
なんて。

閑話休題
第3話時点ではバッドエンドになると予想していたが、終わってみれば救いのある結末へ。
「俺が親父を殺したこと」という第2話ラストの台詞が、引っ掛けでもなんでもなかったということの意味の大きさ。
その事実が消えた瞬間、バッドエンドが雲散霧消した。
少し『暗殺の森』のラストを思い出してしまった、思い込んでいた殺人の事実が消えた瞬間。
暗殺の森』ではなんとも言えない余韻のうちに終わったが(消えない殺人もあるために)、『盤上の向日葵』では前を向く終わり方。
私はこの結末、好きです。
原作では救いのない結末らしい、どんなだ?
電車に飛び込み?

最後に千葉雄大についての感想。
童顔だと年齢を重ねて苦労するのかな、とか思わなくもない。
この上条桂介も童顔であることに変わりはなかったものの、凄みを感じさせてよかった。
NHKのドラマにもっと出てくれたら嬉しいなぁ。

あ、あと蓮佛美沙子
今まで見た中で一番素敵でした。
ああいう化粧っ気のない役の方が好きだなぁ。