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netflix版アルセーヌ・ルパン、人種とか性別とかの個人的雑感

オマール・シーがアルセーヌ・ルパンを演じるnetflixのドラマが2020年に放送予定になっている。
“黒人俳優”がアルセーヌ・ルパンを演じることへの拒絶反応は、よっぽど想像力のない人間でもなければ発表の瞬間に予期するだろう。
実際、上のオマール・シーの投稿にもそういった類のリプライがいくつもぶら下がっている。

黒人⇄白人の不均衡について長々と述べる気はないのだが、当たり前のように白人男性として受け止められていたキャラクターを黒人男性として創作し直すというこの試みを、自分はとても歓迎している。
日本に住む大和系日本人である自分は、白人キャラクターが黒人キャラクターになったところで歓喜に咽び泣くようなマイノリティ人種では全くない。
ただ、創作物の中で憧れのロールモデルを見出せ得なかった幼少期、憧憬の目を向けるキャラクターが全て男性だった小さい頃、大人の女性になる期待を一切持てなかった自分を振り返れば、自分と同じ属性への変更ではないにしても誰かにとって憧れの存在になる得るような変更を喜ばないはずがない。
長らく自分は、好きになるには性別男性は必須なのだと思い込んでいたのだが、そうではなく、好きになる要素を含んだキャラクターの性別が男性ばかりだっただけだと気付いてからは、女性嫌悪(他者ではなく自分が女性に属している嫌悪感)もさっぱりなくなり、好きな要素を持つ女性キャラの活躍を見るごとに泣きそうになっている。
自分ではどうすることもできない属性(性別や人種など)を好きになれるに越したことはない。

多様性がどうといった寛容さや鷹揚さではなく、誰かの救いになる可能性/かかった呪いが解除される可能性といった、祈りに近い心持ちで、自分は黒人アルセーヌ・ルパンを歓迎している。

オマール・シーの演技力を自分は知らないし(最強の2人しか見たことがない)、netflixの創り出す新生アルセーヌ・ルパンが自分の好みに合致するかも分からないのだが、それは白人俳優がキャスティングされていても全く同じ未知のままだ。
願わくば愛したい。

2022年7月15日追記。

アルセーヌ・ルパンシリーズの傑作「813」の連載バージョンの邦訳が刊行された。
ルパンファンなら読んで損なしの大長編となっている。
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興味のある方は読んでみてほしい。

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